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汚い眺め

私の職場のタバコが吸える場所は8階の非常階段だけだ。
8階ともなるとそこそこ高く、周りを見渡すことができる。
少し早めに出勤すると時間があるので私は8階へ行く。
タバコを吸いながら8階から見える景色を見る。
汚い。この街は汚いと本当に思う。
悪い意味は無い。ただただ汚いと思う。

古びた雑居ビルの屋上にある二度と灯りはつかないであろう麻雀と書かれた電光看板。
そのビルの中にある風俗店のキャッチがごま粒ほどの大きさに見える。
デリヘル嬢の送迎をする車が近くにずらりと並んで、来ては去っていき、来ては去っていきを繰り返す。

駅の近くの飲み屋街では怒鳴り声がする。
たまに瓶の割れる音も聞こえる。
喧嘩をしているのもたまに見かける。

駅のホームは人身事故が起きてブルーシートで現場を覆い隠す駅員の姿。
項垂れているサラリーマン、学生、若い男女。

この駅に初めて来たのは同棲する前だから四年前にもなる。
初めて来て電車を降りて、改札を抜けて街へ出た時に思ったことは、汚い。
ただただ汚い。

私の実家周辺と同じ雰囲気がしてなんとなく落ち着く。
人や街の荒廃具合も落ち着く。
ここに住んでよかったのかよくわからないけど悪いとは思わない。
良いとも思わない。